2014年12月5日金曜日

死体のポーズでリラックス



日本ではなぜか「女性が美容のためにやるもの」というイメージが非常に強いヨガですが、その本来の目的は、仏教と同じく「苦しみの輪廻の輪から解脱すること」で、ヨガはそのための修行法であり、悟りの境地(サマーディ)に至るための「道」の一つです。



悟りとか輪廻とか解脱とか言うと、やたらと小難しく、また宗教的に聞こえますが、平たく言えば「ゆるぎない心の平安を得る」ことがその目的である、という程度に僕は解釈しています。



なので当然、ポーズ(アーサナ)が綺麗にできるようになること自体がヨガの本来の目的ではないし、ましてやできるポーズの数が増えればいい、というものではありません。(はず。)





ちなみにヨガの八つの階梯(アシュタンガ)の初めの一つ、「ヤマ」と言われる5つの戒は、仏教の五戒とほぼ同じもので、よくヨガクラスでやる「アーサナ」や「プラーナヤーマ」はその八つの階梯の3番目と4番目にあたり、「サマーディ」が8つ目の最終段階ということになっています。









そんなヨガの数あるポーズの中で、誰にでもできて、一番役に立つ、と個人的に思うものを2つご紹介したいと思います。





その1つは瞑想・座禅のポーズ。
もう1つは死体のポーズです。





一つ目の瞑想・座禅のポーズというのは、結跏趺坐とか半跏趺坐とか、あるいは達人坐とか呼ばれる坐法で、要は座禅や瞑想のことです。元々遥か昔には、ヨガにはこの1つのポーズしかなかったと言われるくらいなので、その重要性は言うまでもないでしょう。



近年アメリカのビジネス界で瞑想が流行したことがきっかけで、日本でも瞑想の効用が見直されつつありますが、個人的体験からも、瞑想は心身を整えるためにもとても有効な手段だと実感しています。



瞑想については色々と書きたいことがありすぎて長くなるので、またの機会に譲りたいと思います。







二つ目の「死体のポーズ」、シャヴァーサナが今回の主題です。やり方はいたって簡単、仰向けになって寝転んで、体の一つ一つのパーツから力を抜いていき、意識を保ったまま完全にリラックスする。それだけです。



とかく日常生活でがんばっている我々は、体中のそこかしこに余計な力が入っています。それに意識を向け、気がついて、ちゃんと早い段階でケアしてあげれば何も問題はありません。


しかしそのまま放っておくと、段々と心身のバランスが乱れていきます。そしてその乱れが違和感になり、違和感が痛みになり、強い痛みや不調へと変わっていきます。この強い痛みや不調が出た時には、既に体はかなり悪い状態になっていて、そこまで行くと自分の力だけで治すことは難しくなりますし、治るのにも時間がかかります。





この傾向は頑張っている人ほど顕著で、そういう方は気が張っているので、気持ちがリラックスしていればすぐに気がつく様な、ちょっとした「自分の心身の異変」に対して非常に鈍感になっています。


「これくらい大丈夫、まだまだ大丈夫」と自分に言い聞かせているうちに、ある時、風船が段々とふくらんでいって破裂する様に、一気に自分が溜め込んできたものの大きさに気がつく時がくるかもしれません。そしてその時にはわりと手遅れなこともしばしばです。仕事柄、そうなってから後悔した方達を今まで散々みてきました。





何かに向かって頑張っている姿は魅力的ですし、それは素晴らしいことだとは思いますが、何事もメリハリが大切で、頑張っていればいるほど、むしろ逆に人よりも、リラックスする時間を意識して作ってあげることが、陰と陽のバランスとして必要なのではないではないでしょうか?







まずは、自分の体の感覚に意識を向けて、風船の状態に気がついてあげてください。気が付くことができたとしたら、それだけで確実に何かが変わっていきます。

そのためにも、この死体のポーズはオススメです。









ところで、ヨガの行者の中には自らの意思で、心臓の鼓動を止める(緩める)ことができる方がいらっしゃるそうで、それは科学的にも測定され、データとして残っているようです。


そしてインドにはなんと、仮死状態になって棺に入り、地中に埋められ、一月後に掘り出されて蘇生する。という究極の荒行があるそうです。


とは言ってもこの荒行、3人に2人はそのまま死んでしまうそうなので、そこまで頑張って修行してきたのに、そんなことするのに何の意味があるんだろう?と思わないでもないですが、そこが「一生片手を上げて天を支える!」という誓いをした行者もいれば、「一生片足をつかない」という行をする方もいる、インドの奥深さなのでしょう。







そんな行は我々には及びもつかない全く関係ない世界ですし、ヨガのポーズの一つにある足を自分の首の後ろにかけられる様になるポーズなども、勿論見ていてすごいな、とは思いますが、別に私たちのような普通の人がそれをできるようになる必要は全くないでしょう。









ですが、今回ご紹介したこの死体のポーズは、それがちゃんとできるだけで、心身の状態は確実に格段によくなること間違いなしです。どうぞ試してみて下さい。





自分の体と心の隅々に意識を向けてあげること。

自分の体と心に「今起きていること」に気がついてあげること。



全てはそこから始まるし、またそこに尽きるのではないかと思います。







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